日本法人設立・支店設置


外国法人の日本進出方法

 日本国内にビジネス拠点を設置する方法として、下記の3つの方法があります。
  ①支店設置
  ②日本法人の設立
  ③駐在員事務所

 ここでは、日本でビジネス展開をする方法について、簡単にご説明致します。なお、詳しくは当事務所にお気軽にお問い合わせください。

日本法人の設立

 日本法人を設立した場合、本社とは別に、独自の営業活動を行うことができます。反面、本社とは異なる株主が介入する余地を残すことにもなります。また、この後に述べる支店設置と較べると設立コストや運営コストがかかってくるというデメリットもあります。

【日本法人設立の方法】

 株式会社の設立に当たり、事前に決めなければならない項目は、以下の点です。これらをもとに、当事務所で定款や、登記申請に必要な議事録等の作成をおこないます。

①商号
②本店の所在地
③会社の事業内容
④出資をする方の名前及び出資金の額
⑤代表取締役・取締役及び監査役の方の人数及び氏名
⑥出資金の送金方法
⑦会社の事業年度

【手続きの流れと必要書類】

①定款や議事録などの必要書類を作成

 まず、定款・議事録等の必要書類を作成します。それぞれに出資者および取締役の方の実印の捺印をしていただきます。あわせて、会社代表印の作製が必要です。なお、定款作成には印鑑証明書が必要ですが、外国人が出資者の場合は、印鑑証明を作らずにサインを利用する事もできます。

②公証人役場で定款の認証

 その後、公証役場で認証を受けます。この際、公証役場へ支払う認証手続手数料として51,500円、定款に添付する印紙代として40,000円がかかります。なお、当事務所にご依頼頂いた場合、印紙代の40,000円が不要です。

③資本金の金融機関への送金

 発起人または代表取締役の名義の個人の銀行口座に振り込み、その振り込みの記帳部分の通帳のコピーをご提出いただきます。法務局への登記申請に必要となります。なお、原則として資本金の送金は、公証役場での定款の認証後でなければなりません。また、資本金の出所は、ビザ申請の際に非常に厳格に審査されます。そのため、海外から資金を調達した場合は、送金証明を保管しておくように気をつけてください。

④法務局への登記申請

 会社所在地を管轄する法務局に登記申請をおこないます。なお、当事務所では、提携の司法書士がこの手続きを行います。登記申請の際には、代表取締役の日本における印鑑証明書が1通必要です。代表取締役が複数いる場合や、取締役会を設置しない場合の他の取締役についても、印鑑証明書が必要になりますので、ご用意をおねがいします。登記に際して支払う登録免許税は、出資金額×7÷1000(最低額は15万円)となります。

⑤税務署、日本銀行等へ会社設立届等の提出

 登記完了後、管轄の税務署、都道府県税事務所、市町村税務事務所へ設立届、日本銀行への「株式の取得に関する報告書」が提出が必要となります。なお、青色申告の承認申請書、給与支払事業所等の開設届出書などの税務関連書類や、労働保険関係成立届などの保険関連の届出も必要です。

⑥入国管理局へ在留資格(ビザ)の申請

 設立した株式会社で勤務する外国人の在留資格の申請をおこないます。この申請の際に、どのように会社を設立したかによって、許可が下りるか否かの大きなポイントになります。極端な事例では、設立したのは良いものの、その後、外国人を全く雇用できなくなってしまったというケースもあります。

 つまり、迅速に許可が取れるかどうかは、会社設立までのプロセスを不備なく確実に進めることが必要です。

支店の設置

 支店の特徴は、外国企業の拠点でありながら、日本で登記手続きをするため、契約主体と認められる点にあります。支店を開設すると、外国企業の支店として、日本法人と同じような企業活動ができます。また、支店の名義で銀行口座を開設することも大きなメリットです。

 日本法人と異なり、資本金の出資手続きは不要です。一方で、日本法人同様に、法人税などの税金を支払わなければなりませんし、従業員を雇用した場合には、社会保険などの負担義務も負うことになります。とくに税金の計算にあたっては、本国本社の決算と連動しておこなわれるので、単独で決算をする日本法人よりは、多少複雑になります。

 なお、支店の開設にあたっては、日本在住の日本人または外国人の代表を1名選任する必要がありますが、他の役員の選任も不要ですし、定款の作成も不要です。

駐在員事務所の設置

 駐在員事務所は、日本法人や支店と異なり、登記手続きをしません。その分、出資金の送金や代表の印鑑証明書の取得などが不要なため手続き的には非常に簡単ですが、一方で法人としては認められないので、駐在員事務所の名義で契約を結ぶことも、銀行口座を開設することもできません。

 そのため、日本での営業活動はできません。商品を売ったり、仕入れたりする場合には、常に、本国本社の名義での契約とならざるを得ません。したがって、通常、駐在員事務所では市場調査や広報、宣伝、本国との連絡業務を目的として設置されることがほとんどです。

 費用的には非常にメリットの多い方法ですが、事務所を契約する場合でも、貸主が外国法人相手にはなかなか契約を結んでくれないなど、現実的な問題もあります。